修士課程と博士課程
大学院は「大学には、大学院を置くことができる」という学校教育法第97条に基づき、四年制大学の上に置かれています。 大学院には修士課程(博士前期課程)と博士課程(博士後期課程)があります。修士課程は2〜4年間(通常は2年間で修了し、修士号を取得)で、博士課程は3〜6年間です。 博士課程一貫教育の場合は、博士前期と博士後期を合わせて5年間となっています。博士後期課程へは、修士課程か博士前期課程の修了者が進学できます。
各課程の位置づけ
大学院設置基準によると、修士課程は「広い視野に立って清深な学識を授け、 専攻分野における研究能力または高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養う」とされ、 研究者の養成機関であると同時に、高度の専門教育を行うものと位置づけられています。
博士課程も高度な研究者の養成のほか、企業等で活躍する高度な専門的知識を持つ人材を養成する役割を担うようになってきました。 その背景としては、科学技術の発達や大学の大衆化に伴い、高度研究部門において四年制大学の教育だけでは、 高度な職業人の養成が難しくなってきたことがあります。
大学院の学生数と社会人入学の急増
大学院進学を希望する人は、年々増加しています。 2012年度の国公私立を含めた大学院学生数は、263,289人。内訳は修士課程が168,903人、博士課程が74,316人、専門職学位課程が20,070となっています。 2000年度の大学院学生数と比較すると、全体で実に57,978人の大幅な増加がみられます。 ちなみに2012年度の入学者数をみると、修士課程が74,985人、博士課程が15,557人、専門職学位課程が7,545人となっています。
特筆すべき現象は社会人入学が急増していることです。 大学院への入学者数の中で社会人の数は、修士課程が7,477人、 博士課程が5,790人、専門職学課程が3,181人となっており、学生数に占める割合もそれぞれ9.9%、37.2%、42.2%と高い割合を示しています。 これはリカレント教育の重要性が社会的に認知されてきたこと、 生涯教育の最高の形態として大学院の存在が注目されてきたことも、大きなファクターと考えられます。
また、受け入れ側の大学サイドでも、昼夜開講制、さらに都心でのサテライトキャンパスの開設など、 履修時間やアクセス面などで、社会人にとってより通学しやすく、 学びやすい環境の整備にさまざまな努力が進められていることもあげられるでしょう。